土壁の種類【聚楽壁(じゅらくへき)編】
皆さまこんにちは!
土壁には様々な種類があるのをご存知でしょうか?
その中でも今回は「聚楽壁」(じゅらくへき)についてご紹介いたします!
●土壁とは●
「土壁」(つちかべ)は、土を主要な材料として使用して建築物の壁を構築する伝統的な壁仕上げの一種です。
土壁は、日本を含むさまざまな地域で古くから使用されており、その特性から注目されています。
1.材料と構造
- 土壁は、通常、粘土や土壌を主成分とする材料を使用します。この粘土は水と混ぜられ、壁に塗られて乾燥させます。粘土に砂やわら、竹などの素材を混ぜて壁の強度や耐久性を向上させることがあります。
- 土壁は、木造建築や竹などの軽量な骨組みと組み合わせて使用されることが一般的です。壁の中には構造的な要素が含まれることもあります。
2.特徴
- 土壁は通気性があり、湿度を調整する能力があります。これは、建築物内部の快適な環境を維持するのに役立ちます。
- 土壁は自然素材を使用しており、環境に優しい建材の一つとされています。
- 土壁の仕上げには、漆喰や珪藻土などが使われ、美しい質感や仕上がりを実現します。
3.用途
- 土壁は、日本の伝統的な建築物、特に茶室や寺院、民家などで広く使用されています。
- 現代の建築でも、自然素材を重視するデザインやサステナビリティを考慮する建築プロジェクトで土壁が再評価されています。
4.維持と修復
- 土壁は時間とともに修復が必要になることがあります。修復には、新たな粘土や漆喰を塗ることが含まれます。
土壁は、その美しさ、自然素材の使用、環境への配慮、
そして快適な室内環境の維持に貢献する能力から、
伝統的な建築から現代の建築に至るまで多くの建築プロジェクトで重要な役割を果たしています。
●土壁の種類●
【聚楽壁(じゅらくへき)】
「聚楽壁(じゅらくへき)」は、日本の建築における伝統的な壁の一種で、京壁とも呼ばれています。
聚楽壁は、京都の西陣にある「聚楽第跡地」付近から採れる
「聚楽土」を原料にして作られた土壁のことです。
現代ではあまり馴染みがなくなりましたが、京都を代表する土壁として、
茶室をはじめとしたさまざまな建物に使用されてきました。
◆素材◆
聚楽壁は土壁の一種なので、作り方は土壁と変わりません。
聚楽土に、藁(わら)や麻、スサまたは細やかな紙、砂、水を混ぜ合わせて作られています。
人工物は一切入っていない「100%天然自然素材」です。
◆塗り方◆
聚楽壁は一番最後の「仕上げの上塗り専用」の土壁です。
塗る厚さは、約2mmで、傷やムラが入ると
全部塗り直さないといけない非常に高い技術を伴う作業です。
出来上がった土壁を、寝かせて発酵させることで、
コンクリートのように硬く強い壁に変わっていきます。
美しさだけでなく、機能性にも優れています。
◆特徴◆
聚楽壁は一般的な土壁と違い、「調湿性能」と「耐火性能」に優れています。
湿度が高い日には壁が湿気を吸収し、乾燥している日には湿気を放出するので、室内を快適に保つことができます。
茶室は城主だけではなく、客人も招いて茶を楽しむ場所。
茶室内を快適に保つことはとても大切です。
見た目だけではなく、このような調湿効果もあることから、
客人をもてなす茶室の壁として好まれたのではないでしょうか。
そして、調湿性能があるということは「消臭効果」も期待できます。
聚楽壁は湿気と一緒にニオイも吸収・分解し、きれいになった空気のみを放出しているのです。
現代のように、空気清浄機や芳香剤がなかった時代、
窓を開けて行う換気でしか空気の入れ替えができなかったので、
自然にニオイを取り除ける性能は重視されたはずです。
また、聚楽土は耐火性能も優れています。
融点は「1,250度」ととても高く、火事になっても燃えにくいのです。
現代のように消火設備が整っていなかった時代では、
聚楽壁のような耐火性能を持っている素材は重宝されました。
聚楽壁は、現在ではとても貴重な素材になっているようです。
聚楽壁のような、クロスもあるみたいです!
ご興味のある方は、検討してみてくださいね(*^-^*)